個の違いを活かし多様性を活用した社会の実現を

MISSION

We envision an inclusive society in which all people can support each other with diverse values. To this end, we use theories and methodologies from social science and psychology to research communication technologies that deepen connections between people. Rather than pursuing the advancement and multifunctionality of information technology itself, we elucidate the essential needs of users and uncover the nature of interaction through human observation, and then design information technology based on this understanding.

情報化社会の浸透によって、誰とでも簡単につながることができる反面、人間関係の希薄化や分断、孤立化が問題になっています。
これは、人が面倒な人間関係を避け、自分に都合のいい情報を取捨選択し続けた末に生じるものです。
そこで、私たちは、人々のコミュニケーションを深化させ、
隣人に対する気遣いの大切さを気付かせるためのコミュニケーション基盤技術を構築したいと考えています。

私たちは特に、ハンディキャップを持つ人(例えば、非母語話者や精神障碍者)に注目して研究を行っています。
ハンディキャップを持つ人が抱える問題の除去を目指した研究は多く存在しますが、その多くは本人のみをサポートしようとしています。
しかし、実はそうした問題は本人にだけ内包されるものではなく、周囲の人や環境との相互関係によって生じていることが多いため、
ハンディキャップを持つ人だけにサポートを行っても、完全に問題を解決することはできません。
比較的負荷の低い周囲の人(マジョリティ)や環境を巻き込んだ解決策が必要であると考えられます。
そこで、私たちの研究の基本方針は、単にハンディキャップを持つ人のニーズを把握して支援するだけではなく、
ハンディキャップを持つ人が抱える問題をマジョリティと相互に理解し合い、
マジョリティからも思いやりを引き出すことによって、問題を包括的に解消できるようにICT技術を開発することです。

このような取り組みを通して、多様性を包摂する社会、
つまり、個の違いを吸収して全体を均一化するノーマライゼーションを推進するのではなく、個の違いを活かし多様性を許容して活用する未来社会を実現したいと考えています。

最終的には、多様なハンディキャップや文脈・場・環境に合ったコミュニケーション支援技術の試作と評価を繰り返すことによって、
気遣いを生むコミュニケーションをデザインするための基礎理論を構築することを目指します。

METHOD

・現場と密なコラボレーションを行うことによって、現場の問題意識を持って研究を実施
・工学・心理学・社会学・医学などの研究者と協力して学際的なチームを構成
・以下のループを回すことによって研究を推進

フィールド調査やインタビュー調査を通して現状把握

現状分析を踏まえたシステム開発

実験室で構築したシステムの評価実験

定量・定性分析の結果を踏まえてシステム改良

システムの現場導入